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9.調査
純愛を純愛と見なさなくなった最近の世の中を憂う。
セカチューを筆頭に「純愛」がブームになり、それはつまり「フィクション」の範疇に追いやられたことを意味する。「純愛っていいよね」というメッセージは「この世にはもう純愛は存在しない」ということを認めていることと同義だ。
そしていつの間にか『タイヨウのうた』がセカチュー、いま会いに続く純愛三部作の完結編ということになっていて、完全に純愛は「消費」されてしまった。
だから、かつては純愛とされた行為も「ストーカー」という言葉で断罪される。「おっかけ」は「つきまとい」になり、「アプローチ」は「嫌がらせ」になり、「ラブレター」は「怪文書」となった。
相手に好意があればその限りではないが、もともと好意のある相手に情熱的な行動を取る必要はない。「なんとかしてお近づきになりたい」という情熱が、のちに笑い話になるような突飛な行動を引き起こすのだ。そしてそれを許せる「空気」が、ある年代までは確かにあったように思う。
今はどうだ。隣人を本気で信じきれず、周囲を他人事にし、相手の純粋さを額面通りに受け取れない。世知辛い、その一言だ。
だから僕は、世知辛い世の中の辛さを抑えるため、いやむしろ甘酸っぱくするため、純愛をキーワードに行動を開始する。純粋な「会いたい」という気持ちで、愛で、ドッペルゲンガーの連絡先調査を開始する。
なお、すでに雑誌にも掲載されているSさんの会社にはアプローチしないこととする。職場だけはご法度だ。常識的に不可侵のルール。
【ホームページ検索編】
ホームページを個人名で開設していれば、その存在はオープンだ。メールアドレスの表記もあるだろう。タレントやフリーランサーならともかく勤め人が本名を公開しているケースは稀だが、ここは万に一つの可能性に賭けよう。
早速グーグルで名前を検索。…653,000件ヒット。姓名ともにメジャーなため、同姓同名の人間が多すぎる。
苦肉の策で、アルファベットで検索。…449,000件ヒット。ダメだ、多すぎる。これではラチがあかない。ヤフーでも似たような結果だ。
会社名や出身大学名から絞り込み検索も行なったが、これといって本人らしき痕跡は見当たらなかった。
【SNS検索編】
本名を公開する人が劇的に増えた、ミクシィやグリーに代表されるSNS(ソーシャルネット・ワーキングサイト)なら、発見の確率は高い。しかも気軽にメールで連絡を取れる環境が整っている。
まずはミクシィで検索。
21人!
いるかもしれない、いるかもしれない。ひとりひとり「足あと」をつけながら、プロフィールを確認してみる。
しかしどうやら本人はいなさそう。現住所が関西でない人はまずアウト(だってSさんは「関西いい男カタログ」に載っていたのだから)。関西在住者に限定すると学生が多く、社会人でも年齢の合致する人がいない。すでに退会したユーザーも2人。残された可能性はプロフィール欄の情報不足で年齢や現住所が特定できない3人か。
続いてグリーで検索。
4人!
しかしこれまた残念。4人とも関東在住の方らしい。
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調査活動の成果をお伝えいたします。ミクシィで見つかった、可能性がゼロではない3名。
1.京都府在住、自己紹介は「後日記入」さん。
2.住所不定、自己紹介は「こんにちは。」さん。
3.住所不定、自己紹介は「サーフィン大好き!」さん。
さあ、アタック、っチャーんス!(博多華丸)
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