その男、エンペラーにつき。


R-18



【序章】風船スカートめくり事件


彼の才能に初めて気が付いたのは、高校3年の秋だった。

彼と僕は3年間、いわゆる問題児クラスのクラスメイトであった。僕らの通っていた高校は当時「京都一モテる男子校」と呼ばれており、僕らのような「例外」の方が多かったが、それでもこの触れ込みは絶大で、文化祭シーズンともなると京都市内の女子高生がこぞって我が校を訪れていた。

しかし2年時の文化祭で僕らは「占い部屋」を企画し、チャンスとばかりに女子高生との「密室」を教室内に作り上げたまではよかったが、一部のバカが酒を持ち込んだせいで大問題に。急性アル中になった者を含む、4人の停学者を排出してしまった。千鳥足の高校生を見たのは、そのときが初めてだった。

前年の愚行を知る3年時の先生は、文化祭の出し物を企画する権限を僕らに与えてくれなかった。逆に、先生からの提案をしぶしぶ受け入れざるを得ないことに。

それは「風船部屋」というものだった。

窓を閉め切り、教室内を無数の風船で埋め尽くす。床には景品引き換え番号の書かれたカードが何枚か置かれており、風船の森をかきわけて探し出す、という至って健全なゲームだった。

つまらなかった。

せっかく女子高生と触れ合える、数少ないチャンス。奥手の文科系男子にとっては、放っておいてもやってくる「未来の彼女候補」に接することのできる年に一度の賜り物、それが我が校の文化祭というものだ。しかしホームの教室が風船で埋まっていては、そのチャンスは限られる。

適当に他のクラスを巡りながら、自分からは話しかけられないから女子高生に話しかけられるのを待ち、あっさり何事も起きぬまま風船部屋に戻った僕。その目に映ったのは、ここでようやく登場の「彼」だ。

「何してんの?」

客を案内する側の我がクラスメイトが、なぜか風船の山の中に潜り込んでいる。「彼」を筆頭に、数名がニタニタしながら突っ立っている。事情を読み込めない僕は、彼に理由を聞いてみた。

「スカートめくってるねん」

え?

「女子高生がカードを探してる後ろをついていって、後ろからスカートめくってるねん」

まあ見てみ、といった表情で「新しい客」が入場した方向へと動き出す彼。風船の山が大きく揺れ動く。女子の背後をピタリとマーキングした彼は、すぐさま彼女のスカートの裾を後ろからひょいと持ち上げ、白い布がご開帳の状態をこともなげに維持し、そのまま彼女と歩調を合わせた。

不思議なことに、女子はそのことにまったく気が付かない。風船同士がぶつかる音のせいか、背後にいる人の気配など感じられないようなのだ。女子がカードを見つけるまで懸命に風船だらけの教室内を歩く時間は「彼」にとって「後ろからパンツを見る時間」という天国のようなひとときになっていた。

彼の革命的なアイデアは童貞男子のエロ魂に火をつけ、次々とリピーターを増やしていく。なぜか客よりも主催者側の男子高校生の方が風船の中に多い。ある者は標的を狙って息を潜め、ある者は成し遂げた偉業に喜びを隠し切れず、またある者は「彼」のおこぼれを待ちわびて待機している。

男子高校生なんて、こんなものだ。

愚行を繰り返さぬよう用意されたはずの先生の提案を、逆にプラスに転じた彼の天才的ひらめき。

恐れ入った。

「こいつには一生、勝てない」と、このとき僕は痛感した(勝つ気もないけど)。

これが「風船スカートめくり事件」。

彼のことは以後、「雛形くん」と呼ぶことにする。彼が当時の大人気グラビアアイドル雛形あきこに心酔していたことに由来するのだが、それ以上に、彼が我々凡人どもに蛮行の「雛形」を示してくださる、という皮肉の意味を込めてだ。

この企画を通じて僕は、彼を告発しようというのではない。ただこの「雛形くん」を通じて、性欲とは何か、男とは何かという果てのない問いにアプローチを試みたいのだ。

他の追随を許さないエロキング、いやエンペラー。その半生を、僕なりにつづってみたい。


つづく。

1.レンタル年齢詐称事件


雛形くんは、妙に肝が座っている。

一見、大人しそうな風貌で、実際もそうなのだが、こと性欲が絡むと別人格を覗かせる。

象徴的だったのは、レンタルビデオ店への入会だった。

今でこそアダルトビデオを始めとする「エロ動画」はインターネットを介して手軽に、ときには無料でダウンロードできてしまうが、僕らが高校生の頃はインターネットが普及しておらず、一部の家庭にモデム回線でつながったパソコンがあるかないか、という程度だった。

必然的に、思春期の男子にとって最もホットな「おかず」はレンタルビデオ店に置いてあるアダルトビデオということになる。もちろんエロ本もメジャーであったが、動画の魅力には敵わない。雛形くんともあろう者が、ぶら下がったニンジンを放っておくはずがない。

しかし忘れてはいけないが、本もビデオも法的に触れられるのは18歳になってからだ。18年という歳月を経なければ、ニンジンを齧ることすら許されない。建前上は。

ではどうやって入手するかというと、

・兄のいる友達に頼む

というのが定石になってくる。そして運よく入手できたまばゆい宝物を周りが羨まないはずがなく、次々と予約待ちの列が出来上がる。クラス中に回覧され、ただのクラスメイトだった者たちがある意味「兄弟」となり、熱き友情が芽生えるのだ。

ただ、18年というボーダーラインは差別的である。誕生日が早いか遅いか、すなわち18歳を迎えるのが早いか遅いかによって「アダルトビデオへのパスポート」を入手できる時期がそれぞれ異なってくる。

さっさと18歳になった友達に「これを借りてきてくれ」と頼める状況が生まれるという意味では悪くない話だが、やはり自分が観たいものを自分で借りたい、というのが誰しもの本音だろう。おのれの性癖次第で「外人モノを借りてくれ」などと友達に頼もうものなら、翌日から「おい、洋ピン」などと呼ばれてしまう。かくも脆い思春期男子のガラスのハートに、これは地獄だ。

そうして思春期男子は、今か今かと18歳の誕生日を待ちわびる。

しかし雛形くんは違った。早生まれで、クラスメイトの中では18歳になるのが最も遅いはずの彼。しかし、すでに随分前からアダルトビデオをレンタルしているようなのだ。

なぜだ。

「18歳って、ウソついてん」

全国チェーンの大手ではなく、地方の小さなレンタルビデオ店。加えて今ほど身分証明書との照合は厳格ではなかった。だからといって「バレたらどうしよう」という気持ちが雛形くんにはなかったのだろうか。

小心者の僕から「スゲーな」と言われても、誇ることもなく、おごることもなく「当たり前やん」と飄々とする様はカッコよく見えなくもなかった。

これが「レンタル年齢詐称事件」。

ちなみに雛形くんや僕を含む仲良しメンバー4人は、20歳を過ぎてから居酒屋に入ったとき「未成年の方はちょっと……」と店員に止められたほどの「おぼこい」少年たちである。

雛形くん、恐るべし。


つづく。

2.八坂神社初詣事件


雛形くんは、隠し玉をいくつも持っている。

思えば彼とは高校時代よりも卒業してからの方が仲良くなったように思う。席も近く帰り道も同じだとかえって核心に迫れないもので、それぞれ別の大学に入学し、離れてから再会すると、改めて「雛形くんという人間の生態」についてふつふつと興味がわいてきた。

あるとき、高校時代の過ちについて語り合ったことがある。「お前、チカンくらいしたことあるんやろ」と冗談めかして僕が聞くと、雛形くんは「ない」と断言した。どうやら法の一線は越えなかったらしい。

しかし雛形くんは、こう続けた。

「触ってしまったことはあるけどな」

は?

「だってしょうがないやん、満員電車やし」

確かに分からなくはない。僕らが通っていた高校へは2両編成の小さな路面電車に乗らねばならず、男子校1校、女子高2校の生徒が同時に居合わせていた。しかもみんな始業ギリギリに来るものだから、朝8時13分発の電車はいつもすし詰め状態だった。

すし詰めなんてもんじゃない。2分おきに次の電車が来る山手線ならまだしも、遅刻ギリギリの最後の望みの「最終電車」。車内の人間にタックルしてでも乗り込まねばならない。

究極の押し競まんじゅう状態で、身体はよじれ、宙に浮き、空気イス以上のハードトレーニングを強いられた。路面電車が横にコテンと倒れたら、全員圧死は間違いない。そんな身動きがまったく取れない中で、自分の手が女子のお尻に触れないとは言い切れない。むしろ位置的には可能性は高い。

「だから手の甲を当てててん」

だからの意味が分からないが、要するに手のひらでタッチするよりは幾分のエクスキューズが許される状態にしていた、と言いたいのだろう。

「だって、しょうがないじゃない」

和田アキ子ばりのこのフレーズは、雛形くんの常套句だ。

しかし僕は、彼が確信犯であることを知っている。なぜなら電車以外での愚行を聞きだすことに成功したからだ。なかなか「否」というものを認めない彼には、しつこく質問をぶつけるくらいがちょうどいい。


「で、どこでチカンしたん?」

「チカンっていうかちょっと触っただけやけどな。振袖の人んとこに潜り込んでこう、ちょっと」

「振袖?」

「初詣で人がいっぱいいるやん。その中に入ってこう、ちょっと」

「どこの? どこの初詣?」

「……八坂神社」


このバチ当たりめっ。八つ橋で喉つまらせて死んじまえ。

嬉々として彼に吐かせた僕も同罪か。とにかく彼は、八坂神社の初詣の人ごみの中で、振袖姿の女性を「ちょっと」触っていた。どこをどう触っていたのかは知る由もない。

これが「八坂神社初詣事件」。

もう他にはないんやろな、との問いに、雛形くんは相変わらず「ない」と断言する。

この男、まだまだ隠し玉がありそうだ。


つづく。

3.ざぶとん持参事件


雛形くんには、兆候があった。

その非凡な才能を確信したのは高校3年の秋、文化祭の頃であるが、ちょうど1年前の文化祭でもその片鱗を見せていた。

序章でも触れたが、高校2年の頃の出し物は「占い部屋」。占いにかこつけて男子と女子の密室を作り出し、とにかく会話をすることを第一目的としていた。真面目なグループは本気でタロット占いを提供していたが、一部は酒に溺れたという苦い過去。

僕や雛形くんは準備に余念がなく、開催前日の夜遅くまで教室に残っては出し物の精度を上げていた。そしてお客様第一主義を掲げるとっても偉い僕は、客が座るイスに座布団がないことに気付いた。これではお尻も辛かろう。

隣にいた雛形くんが、率先して手を挙げた。

「じゃあ、明日もって来るわ」

今思えば彼が持参した座布団はたったの2枚であり、教室内に6つほど設置された占いブースのイスにはとても枚数が足りない。しかし彼が自ら用意するという意気込みに圧倒され、逆に「頑張り屋さんのいい奴だな」という印象を受けていた。

文化祭当日。アル中男が急患で運ばれるまでは、お祭りムードが教室内に漂っていた。最終的には白けムードで解散となり、女子高生と満足に会話できなかった奥手の自分を悔やむ、という人間が多数派を占めていた。もちろん僕もそっち派だ。

しかし雛形くんの目は、さほど悲しそうに見えないのである。


「今日は残念やったな」

「うん」

「まあしかし、アイツが(急性アル中で)死ななくて良かったよな」

「うん」

「その座布団も持ってきてくれてサンキューな」

「うん」

「……ちょっと待て。いま、ものすごく嫌なことが頭をよぎったんやけど、聞いても、ええかな?」

「うん」

「もしかしてその座布団、女子高生が座るからってことで持ってきたん?」

「うん」

「お前もしかして、このまま家に帰って、座布団の匂いでも嗅ぐ気なん?」

「当たり前やん」


雛形くんは、ちょっと笑っていた。田山花袋の『蒲団』を引用した僕なりのジョークだったが、たぶん彼は「マジ」だったのだと思う。

芳子が常に用いていた蒲団(中略)女のなつかしい油の匂いと汗のにおいとが言いも知らず時雄の胸をときめかした。夜着の襟の天鵞絨の際立って汚れているのに顔を押附けて、心のゆくばかりなつかしい女の匂いを嗅いだ。

これを雛形くんに当てはめてみる。

女子高生が尻に敷いていた座布団(中略)彼女らの狂おしい尻の匂いと汗のにおいとが言いも知らず彼の胸をときめかした。股間のもっとも重心がかかった部分に顔を押附けて、心のゆくばかり記憶に新しい女子高生の尻の匂いを嗅いだ。

これが「ざぶとん持参事件」。

女子高生の匂いつき座布団が雛形くんにとって「戦利品」だったとすれば、さほど悲しがっていない目つきにも納得がいく。むしろ帰宅後にふがふがすることを頭に描いていたのかもしれない。

こいつは変態だ。


つづく。

4.深夜の自動販売機事件


雛形くんは、スリルがたまらないらしい。

ビデオに飽き足らず、エロ本だってもちろん、彼にとっては貴重な資源。ところがビデオは年齢を詐称してまで借りまくっているくせに、高校時代、いや今でもエロ本は書店で買わない主義らしい。

書店では身分証明書を必要としない。建前上、18歳未満にはお売りできませんと表示がなされているが、その人が18歳未満か以上かを判断する術は外見以外に用意されていない。書店としても「1冊売れるのならば」という気持ちで成人雑誌の販売を許すケースがほとんどだ。

雛形くんにとって、条件は十分すぎるほど整っている。しかもいい加減、いい大人になったのだから、本の一冊くらい書店で買えばいいじゃないか。

「なんで書店じゃないの? じゃあ、なんで持ってるの?」

僕の疑問は、一瞬で解消された。

「自販機で買ってるねん」

いつの時代だ。

僕らが高校時分の頃なんて、成人雑誌の自動販売機なる代物は下火も下火、大下火。ほとんど見かけたことはない。しかし雛形くんの近所にはそれがあり、どうやら書店ではなくわざわざ自販機で購入しているようなのだ。

ことエロに関しては「スリル」が彼を高揚させる、というのはなんとなく勘付いていた。人としてやるべきではないラインを超えるか越えないかのところで行きつ戻りつする自分に興奮しつつ、成し遂げたときの達成感に恍惚とする。それが雛形くんという人間の生態であることは、ほぼ間違いないと言っていい。

だから「自販機でコソコソ買う感じ」が彼にとっては快楽なのだと思う。

とは言うものの、高校生の頃なら普通に書店で購入し、店員のおじさんに「お前、18歳じゃねえな?」という顔で訝しがられる方がスリルを味わえたのではないだろうか。

あるクラスメイトに真面目そうな顔をして「エロ本だけは万引き主義」というよく分からない奴がいて、お目当ての本を抱えては脱兎のごとく逃げるというエピソードを聞かされたことがあるが、純粋にスリルだけを求めるのならそちらの方がスリル度は高いのではないだろうか(是非はともかく)。

雛形くんの基準は、どこにあるのか。外堀を埋めるように、質問攻めをしてみた。


「自販機で売ってる本の方が、安かったりするの?」

「いや、全然そんなことはない」

「書店に売ってない種類があるとか?」

「まあ、なくはないけど」

「誰かに見られてないかな、ていうドキドキ感がいいわけ?」

「まあ、買うの夜中やし、誰かに見られることはまずないわ」

「え、夜中に買いに行ってんの?」

「うん、家を抜け出して」

「なんでわざわざ夜中に……」

「親にバレないように、こっそり行くのがええんやんか」


ここだ。彼のポイントは「親にバレないように」だ。

本当に親バレしたくない、という気持ちはたぶん3割くらい。それよりも「親にバレないよう秘密の行動を取っている自分」に彼は酔っているのだ。買おうと思えば書店でいつでも買えるエロ本の購入にアドベンチャーの要素を加味しているのだ。

これが「深夜の自動販売機事件」。

事件じゃないな。常習犯だな。

最後にひとつだけ雛形くんに質問してみた。


「で、やっぱり自販機本の中身の方が、グッとくるの?」

「いや、むしろイマイチ」


ますます雛形くんという人間が分からない。


つづく。

5.お兄ちゃんの射精事件


雛形くんには、妹がいる。

これが純粋無垢の女性らしく、傍目から見ても美人。しかし兄の情報によれば、男性には縁遠いらしい。僕の推測では「エロバカな兄」を持ったことで男というものに呆れているのではないか、絶望しているのではないか、という線が有力だ。

異性に対する印象は、異性の兄弟に影響を受けやすいように思う。例えば姉のおかげで僕はかつて「女性=八つ当たりする人」というイメージを抱いていた。こういう偏見は、主に身近な実体験に基づいている。

さて、雛形くんの妹が本当にまっさらな小学校高学年くらいの頃。家族揃って食卓を囲んでいた折に、彼女がこんなことを口走ったという。

「お母さん、射精って何?」

たぶん学校で単語だけ仕入れてきたのだろう。しかし言葉の意味を知ることができず、でも何となくみんなが響きで盛り上がっているので、親に聞けば解決すると踏んだのだ。しかし聞いた言葉が悪かった。

雛形くんのお母さんは偉いもので、笑いながらこう切り替えしたという。

「そういうことはお兄ちゃんに聞きなさい」

僕の家庭なら、確実にしどろもどろだ。映画のキスシーンが流れただけで全員がロボットダンスのようにぎこちなくなる。雛形母のような、これほど見事な切り替えしは見たことがない。

思うに雛形家は、性に対してほどよくオープンなのだ。変に隠さず、かといって生々しく解説もせず。お母さんの言葉は、自然体の表れだ。

ただひとつ、この家での誤算は「雛形くんの性欲が異常すぎた」ことだ。抑圧された家庭に育った者が解放されて性的に乱れる、というのはよくある話だが、雛形家はむしろ逆。ごく自然体で、健全な空気が漂っていたはずだ。

にも関わらず、そんなこととは無縁に、ただ「個」の力が突出してしまった。雛形くんというエロ・エンペラーの誕生を許してしまったのだ。

その後、妹は

「で、お兄ちゃん、射精って何?」

などと聞くことはなかった。恐らく母の言葉のニュアンスから感じとったのは、

・どうやら聞いてはいけない類の言葉らしい
・そういう類の言葉や物事に兄は詳しい

以上の2点だろう。

この「お兄ちゃんの射精事件」を機に妹は、兄の「影の部分」を意識するようになり、彼を象徴とする男という生き物に消えることのない不信感を抱くこととなった。

たぶん。


つづく。

6.休日は通常7回事件


雛形くんは、持って生まれたものが違う。

信頼できる統計データは手元にないが、男性の「自家発電」の回数は実感として平均週2〜3回程度と思われる。ただ、1日1回というケースも珍しくなく、日課として生活に組み込まれている節がある。

雛形くんは、どうだろうか。

あらかじめ踏まえておきたいのは、思春期とそれ以降では少し事情が異なるということだ。生まれて初めて性に対する好奇心を異常なまでに爆発させる多感な時期。当然「自家発電」への探究心も飽くなきものがある。

例えば思春期男子にありがちなものとして「1日最高何回できるか」というハードルへのチャレンジが挙げられる。エンペラーの雛形くんも例外ではないだろうということで、その最大数を聞いてみた。

「14回かな」

さすがである。8時間睡眠として、それ以外の時間、およそ1時間に1回。後半になるにつれ白濁液は透明度を増し、やがてはほとんど何も放出されなくなるらしい。体当たりレポートおつかれさまでした。

そんな自家発電も、思春期を過ぎ、会社勤めを始めたり家庭を持ったりすると必然的に回数が減る。仕事の疲労が性欲を喚起しないだろうし(疲れマラ現象はここでは省く)何より自由な時間が物理的に少ない。パートナーがいるのなら、当然セックスが優先されるだろう。

社会人となったエンペラーに、そのあたりの事情を聞いてみた。


「平日は何回くらいするの?」

「1回するかしないかやな」

「ふーん(まあ妥当か)。仕事大変やもんな。ちなみに休日は1回以上したりするの?」

「7回はするやろ普通」


雛形くんには、根拠のない自信がある。自分のしていることはたぶんみんなもしているだろう的な、妙な確信がある。働きづめの会社員でもひとたび休日ともなれば、7回は間違いない、と思っているようだ。

しかし考えてもみてほしい。休みのたびに7回ですよ7回。休日が週1日だとして、7回×4週で毎月28回。平日も毎日しているとしたら月間合計約50回。恐るべし、年間で600回だ。 休日が週2日だとしたら、さらに倍、年間1200回ですか。

2006年サッカーW杯を戦い終えてジーコが「列強国との体格差」を敗因に挙げたように、人間の基礎体力には個人差がある。皆が同じというわけではない。

雛形くんはまず、性欲が異常だ。そしてそれを補って余りある、身体的に性欲を解消できる体力を持ち合わせている。「持って生まれたもの」がある、選ばれし者なのである。それも休日ごとに7回も自家発電をするような。

ここで僕は、衝撃の事実を発表しなくてはならない。

雛形くんは、既婚者だ。


つづく。

7.なごやか3次会事件


雛形くんは、結婚をしている。

それなのに、休日のたびに自家発電7回。「奥さんとのセックスとはまた別物である」とまで言い切る。そんな彼は一体、何十億、何百億の種を世に放っているのだろうか。

ていうか、よく結婚できたよな(しみじみ)。

高校時代の友人が結婚するということで、僕はもちろん式に参加させてもらった。スピーチを任され(依頼は1週間前)、出し物の企画を期待され(これも1週間前)、2次会でも乾杯の挨拶を求められ(その場で)、振り回されつつ八面六臂の活躍を見せたとっても偉い僕。

そのまま3次会にも参加。

そこで僕は、これまで味わったことのないカルチャーショックを経験することになる。

新婦と共通の友人である女性たちを中心に、新郎である雛形くんを取り囲むテーブルに僕や他の男友達はいた。もうとっくに時計の針は12を回り、酒も回ってみんなほろ酔い気分。男連中の誰かが堰を切ったように、雛形くんの過去の愚行を暴露し始めた。

これ幸いと、僕も酔いに任せて様々な「事件」を暴露した。ここまでくれば無礼講だ。祝いの席だからと妙な気遣いを見せるほど疎遠な仲ではない。

風船スカートめくり事件。八坂神社初詣事件。ざぶとん持参事件などを筆頭に、シルエットプレイ事件、階段でピーピング事件、その他、命名に至らない数々の小ネタ集のお蔵出し。

そして僕は、驚いた。

一連のエピソードに耳を傾ける女性たちが、呆れてはいるが、決して引いてはいないのだ。「きーっ、オンナの敵!」となりそうな数々のエンペラーぶりにも関わらず、彼を見る目はどこか穏やかで、なごやかに見守っている気配すらある。

「もう、しょうがないなあ」

という感じで、雛形くんの生態を一度呑み込み、その上で「もう奥さん泣かしちゃダメよ」的な優しいムードになっているのだ。

これはどういうことだろうか。

確かに同席している女性たちは、新郎新婦双方を知る人たち。雛形くんの過去の愚行も奥さんから多少は耳にしていることだろう。そして奥さん自身、半ば諦めムードで「彼はそういう人だから」と受け入れ、その上で籍を入れる決断をしている。その過程も、事情も、女友達たちは十分に知っている。

とはいえ、それらを差っ引いたとしても、これほどの「事件」を看過できるほど女性陣は温かいはずがない。そんなはずがない。

考えられる理由としては、雛形くんの「包み隠さない姿勢」を挙げられるだろうか。人に対するオープンな態度が、女性陣の反感を買わない防波堤になっているのだろうか。

普通はコソコソしがちな、それでいてとても人に誉められるものではない行動を、彼はなぜか一切隠さない。得意げに自ら暴露するような能天気キャラでもないが、聞かれたら必ず答える。認めるまでに時間はかかるが、最終的には必ず折れる。

だから、彼のすべてが見えたような気になる。

どれだけ会話を重ねても得体の知れない人種もいるが、彼の場合は話せば話すほど親密になっていく。不思議な雰囲気を醸し出しているのだ。

結婚式の2次会の、ビンゴの景品を思い出す。

会社の先輩たちが企画したこのゲームの景品に、カリスマAV男優・加藤鷹の「潮吹き教則ビデオ」が含まれていた。女性に当たったらどう対処していたのだろうという疑問は残るが、雛形くんが喜びそうなものを嬉々として用意する先輩たちの顔が浮かぶ。

雛形くんは、愛されキャラなのだと思う。

3次会にも顔を出した雛形くんの従兄弟は、もちろん幼少期から彼のことを熟知していて、とてもここでは言えないようなエピソードがまだある的な、含みのある発言を僕に囁いてくれた。だからたぶん、雛形くんの中には開けてはいけない箱がまだまだ残されていると思う。

それでも人は皆、彼の魅力に取り込まれていく。

「なごやか3次会事件」は僕の中で、雛形くんをますます神聖化する一因となった。

エンペラー、ここにあり。


つづく。

8.ヤクザと打ち解け事件


雛形くんは、風俗がオアシスだ。

さすがに既婚者になってからは回数が激減したようだが、独身時代はそれはもう頻繁に通っていた。雄琴を中心に、いかほどのお金を散財したかは本人にも分からない。一度トータル金額を計算させたことがあるが、あまりに莫大すぎて途中で投げ出してしまった。

そもそも結婚式を控えた数日前に40万円もする車のオーディオセットを奥さんに相談もせず購入し、こっぴどく叱られるような無計画性。そして金遣いの豪快さ。エロのためなら一層、お金に糸目はつけない。

そういうところもまた、「しょうがないなあ」と周囲に思わせる天然っぷりが発揮されている。

そういえば彼が愛されキャラであることを確信した事件がある。

それはある年の正月。忘れもしない、1月2日のことだった。高校時代の仲間が集まって、京都は木屋町へ。ほろ酔い気分になったところで、カラオケに行くのがいつものパターン。しかし年明けの晴れ晴れとした雰囲気が雛形くんを昂らせ、聞きたくない言葉を僕は聞いてしまった。

「じゃ、風俗行こうか」

なにが「じゃ」だ。なぜゆえ正月早々、風俗などに行かねばならぬ。

以前も雛形くんの「発情」に僕らは振り回されていた。最初に入ったお店では納得いかなかったようで、彼はとうとう2軒目をハシゴして、僕らは彼の「処理」が終わるまで店外で待たされたことがある。

しかも今回は、冬だ。おそろしく寒い、京都の冬の夜更けだ。待たされるのは勘弁だ。しかし「頼むから帰ろうぜ」という僕らの願いは聞き入れられず、とうとう僕らは彼の発情を鎮めるべく、しぶしぶ店探しに協力することになった。

1軒、見つかった。風営法の関係で風俗店は12時以降、営業できないはずなのだが、1軒だけ開いていた。おそらく「宿泊業」などと偽って申請し、法の網目をかいくぐっているのだろう。

「はよ行ってこい。すぐ帰ってこいよ」

階段を駆け上がる雛形くんの嬉しそうな後ろ姿が忘れられない。寒空の下、カイロもなく、彼以外は外でブルブル震えていた。雛形くんは気持ちよくてブルブル震えるのだろうが、僕らは今、苦痛以外の何物でもない。

そして「早く帰ってこい」という僕らの願いもむなしく、予定の40分を過ぎても雛形くんはなかなか外に出てこない。もしかして違法営業の店だからぼったくられているのではないか、ボコボコにされているのではないか。さすがに焦ってきた。

僕はエロ本の編集者をしている大学時代の友人に久しぶりに電話をかけ、アドバイスを求めた。京都の風俗事情に詳しい友人にも電話をかけた。いくらエロバカな男といえど、友達は友達だ。怖い事件に巻き込まれるのを見過ごすことはできない。

しかし話の途中で、ケータイの電源が切れた。僕の他にもうひとりいたが、そいつの電池も切れた。これはまずい。

不安はさらに増大する。店外であたふたする僕らの背後から、とあるオッサンがのそのそと歩いてきた。全身白のスーツ、金ぴかのネックレス、ウェーブのかかったヘアーに、色黒のいかついフェイス。誰がどう見てもヤクザだ。マンガでしか見たことのないヤクザ屋さんだ。

メドゥーサの目を見たかのように硬直してしまった僕たちは、白スーツに話しかけられた。

「ここ、開いとんか?」

どうやらこのオッサンも、風俗店を探していたらしい。どこも開いていなくて、ここにたどり着いたようなのだ。船着場かここは。

いま雛形くんがいる店は路地の奥にある。僕らは表通りからやってきたオッサンに逃げ道を防がれ、店とグルになって金を巻き上げられるものだと錯覚したのだが、どうやらオアシスを見つけた単なる発情馬のようだ。

白スーツとコミュニケーションを取るのも窮するし、かといって無視するわけにもいかない。どうしよう、どうしよう。明らかに動揺する中で、階段を下りてくる足音が聞こえた。

雛形くんだ。

心なしか身体から湯気が出ているように見えた、満足気に火照った表情の雛形くん。てめえ、オレたちはヘビに睨まれたカエルだぞ。ひとりだけよろしくやりやがって。そしてヘビの矛先は、雛形くんへ。


「兄ちゃん、どやった?」

「いや〜、良かったですよ」

「そうかそうか。ほなオレも行こかな」

「どうぞどうぞ。入口は階段を上がったところですよ」


雛形くんは、やっぱりバカなのだろうか。このオッサン、どう見てもヤクザじゃないか。なぜ動揺しない。ビビらない。むしろ仲間意識まで見せているのはどういうことか。ちょっと先輩風まで吹かせている、その余裕はどこからくるのか。

震え上がっていた僕らの方こそ、バカに見えた。しかも雛形くんが規定の40分で終了しなかったのは、友人を待たせているにも関わらず「延長してたから」という、どうしようもないエピソードのオマケ付きだ。

これが「ヤクザと打ち解け事件」。

雛形くんの長所は、人と打ち解けやすい気さくさにある。特にエロを共通点にしたときのフレンドリーっぷりは他の追随を許さない。

雛形くんの愛されキャラの本質を、僕はこのとき垣間見た。


つづく。

9.風俗3時間延長事件


雛形くんが打ち解けるのは、ヤクザに留まらない。

ときには彼にとって「商品」であるはずの風俗嬢とも打ち解けてしまう。

風俗店が彼のオアシスであることは先に述べたが、どうやら本当にオアシスらしい。お金を払って性欲を処理する、そういう身体的な快楽を追求するだけではない。発射したら終わり、という刹那的な行動をするためだけに通うものではないらしい。

あるとき雛形くんは、風俗嬢と店外デートをしたことがあると誇らし気に語っていた。どうしてそういうことが可能なのか、常人には分からない。いつ、どこで、なぜ、どのように。店外デートの5W1Hを聞いてみた。

ときは独身時代。近くの風俗店に顔を出し、相当その娘が気に入ったのか、何度も店に通い詰めたらしい。しかしどうしても理解できないのは、代金を払って入店したにも関わらず、一度も「そういうこと」をしない日もあった、というエピソードだ。

彼女に恋でもしたのだろうか。

「ずっと話をしてたねん」

彼女のプライベートや、恋の悩み。そういうものに、親身に相談に乗るらしい。

「話し込んで、3時間も延長したわ」

すでに僕の脳みその許容範囲を超えている。わざわざお金を払って延長して、どうして見ず知らずの女の話を聞く必要がある。お金をもらって「カウンセリング」をするのならまだ分かるが、金を要求されるカウンセラーなど聞いたことがない。

しかし、そういう行動が、風俗嬢の心を融解する。風俗嬢は普通、指名されて売上があがるものであり、男を転がす側のスタンスを崩さない。しかし雛形くんの行動には「彼のこと、ちょっと信じていいのかも」と思わせる優しさが見えるのだ。

結果的に雛形くんは、風俗嬢と店を出て、デートをするようになる。建前上「そういうこと」をするときは代金を支払っていたというが、今日はもういいよ、と彼女に言わせたこともゼロではないだろう。単なる風俗嬢と客の関係を越え、心を通わせた男女なのだから。

「まあでも、彼女が本当に悩みを抱えてて、お前がそばにいることで何かの支えになるのなら、悪くないかもな」

僕は雛形くんの行動に、一定の理解を示した。

それでも僕は、彼の説明を額面通りには受け取れない。例え3時間の延長料金が大きな出費だとしても、金銭のやりとりなしで「関係」が維持されたなら、トータルでは得をしていることになるからだ。出費は「投資」になるからだ。彼の狙いは、初めからそこではないのか。

雛形くんは、笑ってごまかす。

この男には、何かがある。ヤクザも風俗嬢さえも引き込む、何かが。


つづく。

10.携帯フォルダ分け事件


雛形くんは、基本的にワキが甘い。

大胆不敵で策士な面もあるのだが、奥さんに対しては相当抜けている。唯一気を許している仲だからか、あるいは本当にバカなのか。

雛形くんは結婚して間もないが、それでも「出会い系サイト」にアクセスすることをやめない。今さら誰と出会うのだ、と思うが、ただ、家庭をもった男の行動としてはさほど珍しくはない。

そもそも出会い系にアクセスするようになったのは、風俗通いができなくなったからだ。奥さんにお小遣いを締め上げられ、雛形くんは稼ぎをそのまま使えない「悲しい夫」に成り下がった。その結果、必然の理として「お金をかけずに性欲を満たせる方法」にシフトした。風俗嬢ではない「素人」と出会えば、お金もかからないというわけだ。

しかし奥さんもバカじゃない。雛形くんを「そういう人間」と知っているからこそ、お小遣いを風俗に通えない額に下げ、次の一手にメル友を活用することも奥さんには織り込み済み。だから夫のケータイをチェックするのは、当然だ。

そして雛形くんは、疑念を抱く。奥さんがケータイを見ているのでは、ということにようやく気付く。さすがの彼も不安になり、証拠をとる行動に出た。お風呂に入る前にケータイを所定の位置に置き、少しでも角度がズレていたら「見られている」と確信する、というセコイ手だ。

で、最近、少しズレていたらしい。

身の危険を感じた雛形くんは、ついに、ある行動に出た。

「メールのフォルダを分けることにしたねん」

は?

メールの受信先を「怪しいメール」と「そうでないメール」に振り分け、ケータイを開いたら「そうでないメール」が目に飛び込む設定にしたらしい。

かといって「怪しいメール」のフォルダにパスワードをかけたわけではない。そんな機能があったとしても、彼にはもはや必要ないだろう。彼からしてみればメールのフォルダ分けは「してやったり」の行動であり、奥さんをかく乱するには十分のトリックなのだ。

おかげで彼はご丁寧にも「怪しいメール」をフォルダにひとまとめすることに一役買い、奥さんに疑惑を「パック」でご提供することとなった。

本当にバカだ。

だからといって、すぐに離婚、とはならないのが夫婦というもののミステリー。むしろ雛形くんのような「分かりやすすぎる行動」の方が、奥さんとしては安心するのかもしれない。裏で何をやってるのか分からない、自分を愛しているのかそうでないのかも分からない謎の旦那を抱えるよりは、リスクはあっても転がしやすい方がいいのかもしれない。

だから雛形くんが、奥さんが寝静まったと思って別室のリビングに移動し「自家発電」に励むくらいは、気付いていても無視しているのだろう。それが優しさであり、愛だ。

雛形くんは、今なお、手のひらで転がされていることに気付いていない。


つづく。

了.雛形くんという生き方


雛形くんには、デリヘルを経営する友人がいる。

普通に生活していて、どうして「デリヘルを経営する」という発想に及ぶのか、普通の人には分からない。僕にもまったく理解できない。しかしそういう人たちが裏で危ない橋を渡りつつ、一般男性に花園を提供していることもまた事実なのである。

雛形くんもまた、その恩恵に与る男であり、例外ではない。あろうことか、経営者と親交まである。

思えば彼は友人の幅が広い。デリヘルを経営する人間もいれば京大卒のエリートもいる。僕のような風来坊のライターもいれば、農家を継いだ者もいる。そのどれとも仲が良い。

雛形くんは、異常性欲男だ。こう書くとエイリアンのようだが、少し発想が突飛で、大胆で、そしておのれの欲望に正直であるだけだ。周りから笑いのネタにはされるが、それも「込み」の愛される性格なのだ。

営業職で結果を出し続けているのも、今なら分かる。

高校で3年間、クラスを共にしただけでなく、幼少期に接点のあった腐れ縁である、僕と雛形くん。そのエンペラーっぷりが目立って、これまで色眼鏡でしか見ていなかったが、様々な「事件」に接するたびに彼の見方が変わっていったことは否めない。

むしろ羨ましくもある。

雛形くんという生き方を、すんなり受け入れてほしいとまでは言わない。彼のイケナイ行動に顔をしかめるのも当然だ。僕も特別擁護はしない。しかし「こういう人もいる」ということを、知って欲しくて僕はここに書き記した。

どうとらえるかはあなた次第。ただ、近からず遠からず「男ってだいたい、そういうもん」だと僕は言いたい。

そして最後にひとつだけ。僕は、雛形くんとは一生友達であり続けるだろう。再会するたびに「新ネタ」を披露してくれる彼に、僕はいつまでもこう呟いていたいのだ。

「お前、やっぱスゲーわ」


おわり。

※「#005 異常性欲男の生態を追う。」は、
 雛形くん(仮名)本人の許可を得て発表しています。

2006.07.18
松岡厚志


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