|
8.ファンクラブを作ってみて
2006年5月、MYファンクラブの無期限停止を決断した。
仕事の都合上、関西の地を離れることになったため、中途半端に「スター」はできないと苦渋の思いで下した判断だった。いつか復活するかもと含みは残しつつ、約1年間の活動に終止符を打った。
そもそもの意図は「有名人とは何か」を探る旅であった。
インターネットの劇的な普及は、それまで放送や出版に限られていたメディア機能が一般に開放されたことを意味していた。マスかそうでないかの違いはあれど、表現の場であり、他者に情報を媒介するという営みが一般的なものになったわけだ。
また、テレビや出版物などメディアに登場する人物は「芸能人」と呼ばれる名の知れた人であるのが常だった。素人参加番組などは例外として、有名であることが生業である人たちのステージとしてメディアは機能していた。
今でもそれは変わらないが、インターネットはそうしたステージに近いものを用意し、メディアに出たら有名人、そうでなければ無名人という垣根を取っ払い始めた。インターネットから有名人が生まれるケースも出始めた。無名な個人がブログでニュースを発信する時代に突入した。
ここで僕の疑問は沸点に達する。
「有名ってなにさ、無名ってなにさ」
その答えを探る悪ノリの小旅行に読者を誘いつつ、「有名人とは何か」を自分なりに考えてもらいたかった、というのが本企画の発端だったのである。
有名人は「有名税を支払う」のだという。もちろん本当に金銭や物品をお上に納めるという意味ではない。有名人であるがゆえに被る誹謗中傷や名前を利用されるなどの迷惑を税金に見立てて表現されたエスプリだ。
僕もこの活動を始めてから、多くのファンや読者に支えられた一方で、
「きも。sineyo」
などとコメントされたこともある。これもある意味「有名税」なのだと思うと、今ではいい思い出をもらった気がして感謝すらしている。
ファンクラブに参加してくれた人たちも、中傷してくれた「反クラブ」な人たちも、付き合ってくれて本当にありがとう。
かくして「無名人がファンクラブをセルフ・プロデュースする」という企画はひとまず幕を閉じた。
ああ、楽しかった。
おわり。

|